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胃がん
「胃がん」は、日本人に多いがんの一つです。がんで亡くなる人の中で、2番目に多いとされています。また、初期は自覚症状がほとんどないため、早期発見・早期治療が大切です。
胃がんとピロリ菌の関係
ピロリ菌感染は、胃がんの一番の原因であるとされています。ピロリ菌によって慢性胃炎を発症すると、胃液や胃酸などを分泌する組織が減少してしまい、胃の粘膜が薄くなり萎縮が進行(萎縮性胃炎)した結果、胃がんになる可能性が高まるとされています。しかし、すべての胃がんがピロリ菌感染によって引き起こされるわけではありません。また、生まれてからピロリ菌に感染していない人でも、遺伝的な要因やライフスタイルの影響などで胃がんになることがあります。
胃がんの進行
胃がんは進行するにつれて、深く浸潤して漿膜(しょうまく:内臓の表面を覆う膜)の外側まで達し、大腸や膵臓、横隔膜、肝臓などにも直接広がっていきます。このように、がんが浸みこむように周囲に広がることを「浸潤」といいます。漿膜の外側を越えると腹膜播種(ふくまくはしゅ:がん細胞が散らばるように広がること)が発生することがあります。また、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って移動し、胃から離れた別の臓器で増殖する転移が起こることもあります。
スキルス胃がん
逆に、胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていく胃がんもあります。これを「スキルス胃がん」といいます。スキルス胃がんは進行が早いため、腹膜播種が起こりやすいといった特徴があります。また、内視鏡検査だけでは診断が難しい場合もあり、画像検査や組織検査が必要となることもあります。スキルス胃がんは、症状が出てから発見されることも多く、治りにくいがんとされています。
胃がんの可能性のある症状
胃がんの代表的な症状には次のようなものが挙げられます。
- 胃の痛み
- 不快感、違和感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲不振
- 貧血
- 血便
胃炎や胃潰瘍の可能性も
貧血や血便などの症状は、がんから出血することによって起きる場合があります。しかし、これらは胃炎や胃潰瘍でも起こる症状です。そのため、原因をはっきり調べるためにも、内視鏡による検査がとても大切です。また、胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても稀に症状がない場合もあります。
胃がんの治療
胃がんの治療は、進行具合や全身の状態によって異なります。主な治療方法としては「外科手術」「薬物療法」などが行われます。
胃ポリープ
「胃ポリープ」は、胃内腔に突出する良性の隆起性病変です。一般的なポリープとしては、胃底腺ポリープ、過形成ポリープ、胃腺腫性ポリープ(胃腺腫)の3つに分類されます。
3つの胃ポリープ
胃底腺ポリープ
「胃底腺ポリープ」とは、胃酸などを分泌する胃底腺の粘膜に発生するポリープです。米粒程度の大きさで、表面は滑らかで色の変化はほとんどありません。一般的に女性患者に多くみられ、女性ホルモンなどの関与の指摘があるものの、明確な原因は不明であり、ピロリ菌感染のない胃にも見られます。また、胃底腺ポリープは通常がん化しないため、自然に消失することもあります。
過形成ポリープ
「過形成ポリープ」は、発赤が多く「腐れイチゴ」と称されるように、イチゴのような顆粒状になっています。特に胃の出口付近にできやすいポリープで、出血を起こすことも多く、これが原因で貧血になることもあります。ピロリ菌感染は80〜100%と高率であり、がん化のリスクもあります。ピロリ菌感染の胃でできた過形成性ポリープは、除菌により消失することが多いです。
胃腺腫性ポリープ
「胃腺腫性ポリープ」は、少し白っぽい色調で平坦な隆起が特徴です。一般的に良性のポリープであることがほとんどですが、腺腫の中にがんが併存している場合や、胃腺腫自体ががん化する可能性もあります。がん化するのは約10%ほどという低い確率ではありますが、内視鏡切除あるいは小まめな経過観察が必要です。
胃ポリープの症状
一般的に、胃ポリープにはこれといった自覚症状がありません。内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線透視検査(胃バリウム検査)で偶然みつかるといったケースがほとんどです。ごく稀に、過形成性ポリープが出血を起こし、貧血や下血などの症状が現れます。
胃ポリープの治療
基本的に、胃過形成性ポリープや胃腺腫(良性の腫瘍)は、小さいものであれば治療を行わない場合もあります。ただし、腫瘍は数センチほど大きくなった場合やがん化が考えられる場合は、内視鏡切除が必要となります。
胃カメラ検査で早期発見
当院では、胃カメラ検査による胃がん・胃ポリープの早期発見に努めています。胃がんやポリープは自覚症状が少ないため、発見が遅れてしまうこともよくあります。胃の健康を末長く守るためにも、定期的な胃カメラ検査やピロリ菌検査の受診をお勧めします。